2012年4月1日日曜日

情報・史料学専修 « 京都大学大学院文学研究科・文学部


情報化と情報技術が抱える問題の哲学的、社会学的、歴史学的研究を中心に、人文社会学的発想に基づいた情報技術の研究、人文科学への情報技術の運用な ど、情報学と人文社会学の境界領域を幅広く研究する。


従順なトップの男子
林 晋 教 授 情報学・数学史

文学部受験生向けメッセージ

情報・史料学専修では「情報」に関係する多種多様なことを研究しています。ちょっと聞くと何で「情報」に関係するのだろうと思うようなことから、理工学系の情報の研究まで、その内容は実に様々です。少し例をあげてみただけでも、情報社会学、論理学や論理思考、社会学的合理性理論、ゲーデルの不完全性定理の歴史や、和算(江戸時代の日本の数学)の歴史から、コンピュータ・サイエンスや歴史研究用のソフトウェアの開発、となります。この一見無節操にも見える間口の広さの背後には、情報学の最重要課題は「合理性の問題」であり、この「合理性の問題」がWEBのような情報技術を通して現代社会に大きな影響を及ぼすという強い信念と、そういう「合理性」の正体を見極めたいという大きな目的があります。一見バラ� ��ラに見える多数の研究分野は、この信念と目的によって、すべてお互いに密接に関連づけられているのです。

その問題が果たしてどんなものかは簡単には説明できないので、興味が湧いた人は専修のホーム・ページ(情報・史料学専修ホーム・ページ) と担当教員林のホーム・ページ(


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大学院研究科受験生向けメッセージ

教 授 林  晋 情報学、科学技術史

本専修は広い意味での「情報化」について幅広く考察することを目的とする。いわゆる情報化は現代社会を 爆発的に変えつつあり、その影響はケータイのように日常生活のレベルにまで及んでいる。その「爆発」がコンピュータの登場により引き起こされたことは論を 持たないが、注意深く歴史を観察すれば「情報」、「情報化」の技術や概念は、ヨーロッパ文明の中に深く組み込まれていることがわかる。コンピュータの登場以前から「知の物質化(外化)」としての「情報化」は存在したのであり、
記号代数、ライプニッツの微積分学とars combinatoria、19世紀の記号論理学などは、その典型である。そして、「ガリバー旅行記」に登場するラガード学士院の思弁機械は、夢想的に語 られる「情報マシン」に対するスウィフトの痛烈な風刺であった。

しかし、現代の情報技術は、この夢想を実現し始めている。我々は、近代化・合理化の最終局面が情報技術により成し遂げられようとしている時代を生き ているのであり、「情報化の社会的インパクト」について深く考えないで済ますことは危険でさえある。


プラークは、自由の女神に何を言っていますか?

ところが、ビジネス用PCから情報技術の大衆化が始まった米国等と異なり、i-modeやゲームソフトなどから情報化が発進した日本では、「情報と 社会」への社会科学的な研究・発言には、ポストモダン的かつ大衆文化的雰囲気が強いものが多い。また、情報技術についての無理解や誤解に基づいている場合 や、科学的・技術的に誤りがある場合さえ少なくない。本専修の担当教員は、計算機科学、ソフトウェア工学の専門家なので、最先端の情報技術の教育・研究の 経験がある。本専修における教育・研究の目的は、最先端の情報技術の基礎を学習し、それを基に、社会と情報化の関係を、可能な限り客観的かつ現実的に研究 することである。


研究テーマの例としては、M.Weberの合理化理論と情報技術、標準化と情報化、ソフトウェアにおける標準化、日本のソフトウェア産業の構造的問 題「特に日本の機械産業とアメリカのソフトウェア産業との比較研究」、日本的・東洋的思考法と合理性、和算における論証、数学基礎論・論理学史、コン ピュータ以前の情報化の歴史、などがあげられる。特に、日本のソフトウェア産業の構造的問題点の研究は、科学技術政策の観点からも研究を行う。ただし、学 生の研究テーマは、これらに限らず、情報や近代合理性に関係するものならば広く受け入れる。また、情報学の工学的・科学的側面に関心を持つ学生がいれば、 ソフトウェア工学・科学等の専門的研究をすることも可能である。この場合は情報学研究科等の研究室と連携することがある。この分野で現在実施中の研究テー マは、学習に基づく論理、Requirement Engineering,UMLとAgile開発法である。

これらの研究を通して、本専修では現代社会における「情報化」の問題点を見抜き、それを改善できる能力を持つ、研究者、CIOやコンサルタントのよ うな指導的実務家などを養成することを目指す。


以上が、本専修の主な目的であるが、本専修では、これ以外に、情報技術の人文・社会科学への応用の研究も行う。これが「情報・史料学」の「史料学」 の部分である。ただし「史料学」は狭義のhistoriographyではなく、「歴史資料への情報技術の適用の研究」を意味する。この分野の研究として は、手書きの史料の文献学的分析支援ツールの開発を行っている。

次のホームページで、林の研究の全容を知ることができるので参考にして欲しい。林のホームページ  林のチームが開発したUMLツール(ソフトウェア工学)のホームページ 



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