就職活動の原則~僕らは「何」を企業に伝えなくてはいけないか~
就職活動の「原則」ということで「What to Say」(何を伝えるか)の視点から、僕が大手広告会社や外資系コンサルティングファームなど複数社から内定を頂く中で得た経験、採用側として採用方針・コンテンツ設計の支援に携わった中で得た知見をまとめてみました。
少なくともココを外さなければ、早い段階で理由もわからず落とされることはほとんどなくなるかな、と思います。決して就職活動の勝利(=内定獲得)は人生の勝利というわけにはいきませんが、ひとまず目先の不安を取り除くことで、自分が取るべき人生のスタンスについてより深く考える時間もとれる・・・ということもあるかもしれません。是非参考にしてください!
あなたが企業に伝えるべきたった一つのメッセージ
さて、いきなり「っぽい」見出しで始めさせていただきましたが・・・結論から言います。
それは、「私には御社に"フィット"する"能力"がある」ということです。
企業から見たあなたの「貢献期待値」は イコール「 能力 × フィット感」で表せます。これらは掛け算なので何も「能力」の絶対値が高い必要はないのです。「フィットする能力」を示せるかどうかが試されています。まずはこれを覚えておきましょう。
次にこのメッセージをどのように伝えるべきか。大きく分けて、就活において聞かれることは2つしかありません。「自己PR」と「志望動機」です。多くの場合、ESでも面接でもこれらが手を変え品を変え何度も聞かれています。最初に述べたメッセージを分解してみると、それぞれ・・・
- 自己PR =「私には能力がある」
(私はこのような思考・行動特性に基づき、こんな能力を発揮し、こんな成果をあげることができますよー)
(その成果は御社のこんな価値観のもとで発揮され、こんな業務に活かされますよー)
を伝えるものだと思ってください。
小児肥満に対する解決策
一つ目はなんとなく分かると思いますが、補足が必要なのは二つ目の「志望動機」だと思います。これ、自分視点で考えれば単なる「自分がその会社にいきたい理由」ですが、企業の視点から見てみるとまた違った側面が見えてきます。企業があなたを採用する理由は、あなたがその企業の利益拡大に貢献できるから。正直あなたの志望動機自体はどうでもいいんです。
では、なぜ聞くのか。それはあなたの能力が発揮されるフィールドが自社にあるのかどうか面接員がイメージするためです。面接員は自社の事業内容や風土について思いを巡らせながら「この能力、うちで発揮されるかな」「どこの部署で発揮されるかな」ということを考えています。したがって、あなたが語る志望動機がその企業にフィットするものでないと、この関門を突破できないのです。
考えてみてください。「サークル代表として発揮したリーダーシップ」をアピールしたいあなたは、ゼミでも同じようにゼミ長をやっていましたか? あなたの能力が発揮されるフィールドは大抵の場合限定的です。能力とはある特定の条件下で発揮されるもの。それがフィットしているよ!ということを伝えるために「志望動機」があると考えてください。
以上を踏まえて。
でーん。
あなたと企業の「Matching」を構成要素に分解してみました。
まず、自己(=Me)の地平にはあなたの能力(Ability/Capability)が、企業(=You)の地平には企業の「Work/Culture」があります。あなたの持つ能力がその企業の価値観・業務の中でしっかり発揮できるときに「Matching」が起こります。それでは一つ一つの要素について補足していきましょう。
■Me(自己)
- Ability :あなたが持つ具体的な経験・能力
- Capability :その能力発揮の源泉・条件
■You(企業)
高血圧症の脳タンパク質
- Work :企業の具体的な業務内容
- Culture :企業の風土や価値観
※「Ability」とは、決して「コミュニケーション力」「問題解決力」といったありがちな能力とは限りません。これらをアピールするならば、むしろ「コミュニケーション"スタイル"」「問題解決"スタイル"」になります。「組織全体を奮い立たせるコミュニケーションの力」と「個々人の不満を丁寧に一つ一つ和らげるコミュニケーションの力」が違うように、そういった言葉に惑わされずその企業の業務に活かされそうな具体的な能力を選びとってください。また、更に重要なのが「Capability」。先ほどリーダーシップの例で話したように、その能力の発揮要因・条件、優位性の源泉のことです。あなたはなぜ「◯◯力」を発揮できるのか、どのような状況でどのような思考特性を持ってそれを発揮するのか。「Ability」には具体性� �求められる一方、「Capability」はある程度の抽象度を保って「Ability」の広がりを伝えなくてはいけません。
以上の要素についてそれぞれ思い当たる部分・考えうる部分を洗い出すのが、いわゆる自己分析と企業分析になるのではないでしょうか。自己分析ってそんなに難しいものでもないんですね。自分の「好き・嫌い/得意・不得意」だけを大まかに把握したら、謎のワークシートはすぐに破り捨て、上記「Me」の2項目を埋めましょう。
成長する有機失敗
一方、より重要で差もついてしまうのが企業分析です。「この会社はこういうクライアント相手にこういうものを売っているから、こういう会社と競合することが多そうだ」「この事業の収益減を見るに、同じ営業と言えども継続顧客をつなぎとめるタイプよりも新規開拓ができるタイプが必要だろう」等のイメージをしっかり持ち、それに対して自分の経験・能力をフィットさせていかなくてはいけません。ちなみに、これらは上場企業であれば企業HP内の「投資家向情報(IR情報)」から知ることができます。有価証券報告書等から、各事業部の売上構成からどの部門が増益・減益しているかを。また、中期経営計画等から重点化していきたい分野や今後の展望等を読み取ることができます。いや、「読み取る」なんてほど難しいものじゃありません。財務諸表を読める必要なんてなく、フツーに文章で「事業等の概要:◯◯が昨年比◯%減。原因は・・・にあると考えられる」って親切に書いてあります。こちらもIR情報に目を通すことができれば、謎の四季報や業界地図はすぐに破り捨ててしまって構いません。
プラスα
就職活動の全体観・考え方は以上の通りなのですが、ここで理解を深めるために一つのキーワードをあげさせて頂きます。それは「再現可能性」。つまり、あなたの能力は自社の業務においても再現されるのか・・・。面接員にとってはそれが重要なんです。実は再現可能性には二つの段階があり、まず大前提として一つ目に「それホント?」というのがあります。「こいつ、問題解決力あるっていうけどホントかな」と。それを払拭するために私たちは「(より具体的な)エピソード」を用います。また、面接員も頑張ってあなたの能力が発揮されるイメージを持とうとしてくれているかもしれませんが、どうせなら親切にこちらから自分の活躍シーンを「イメージ喚起」してあげるのです。
まとめーん
【演習】
あなたは、自己PRを通じて
A「私はこのような思考・行動特性に基づき、こんな能力を発揮し、こんな成果をあげることができます」
また、志望動機を通じて
B「その成果は御社のこんな価値観のもとで発揮され、こんな業務に活かされます」
ということを伝える必要があります。
1.指示語部分を自分なりに埋めてみよう。
2.Aについて具体的なエピソードで補強し、Bについて自分の活躍シーンを喚起させるに足る当該企業の業務・風土を具体的に挙げてみよう
続き
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※2/22追記
書籍「ロジカル面接術」に似ているとの声を頂きました。実は、この本のピラミッドストラクチャは見たことがあり最初の「貢献期待値 = 能力 × フィット感」という着想には影響受けています。最初は企業も擬人化して「能力」と「能力」のマッチングの図式を描いていましたが、この本の切り口の方が分かりやすいなーと。ただし、そこからの落とし込み方は結構違うのではないかと思います。改めてレビュー等検索してみましたが、あちらのアピールすべき「能力」を具体的に定義してしまっている点、自己分析を推奨している点等は違いますし、ピラミッドの切り口を「2つのメッセージ」ではなく「2者のプレーヤー」を切り口にそのマッチング図式をとった点や、「Capability」等の概念を用いて再現性の補強を行っている点はオリジナルです。また目次を見る限り書籍の方は図解だけして以降が尻切れになっている部分も見受けられるので、その辺りももっと考えを深めて補え� ��らと思っています。実はこの記事、明日も続きます。「How to Say」の部分までしっかり一貫して補足していきますのでよろしくです。
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